バナナって、手軽に食べられて、栄養も豊富で、おいしいですよね。
でも、バナナの農薬事情については、知っていますか?
実は、より安全なバナナの選び方があるんですよ。
それにフェアトレードの、バランゴンバナナというものもあります。
私たちの食卓に身近な、バナナについて、お伝えしていきたいと思います。
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輸入果物に使われる防カビ剤って?
外国産のバナナや柑橘類などの果物は、長い日数をかけて、船で輸送されてきます。
私たちが購入し、手に取るまでに、かなりの日数がかかっています。
そのため、カビが生えることを防ぐために、防カビ剤が使われています。
防カビ剤は、毒性の高い農薬で、発ガン性があるものです。
毒性が高いですが、長い日数をかけて、船で輸送されてくるのに必要なので、許可されているんです。
必要だからって、毒性が高いのに、ちょっと怖いですよね…。
この防カビ剤は、食品に付いたカビの繁殖を防止するのに用いられる、食品添加物の扱いとされています。
成分としては、農薬や殺菌剤として使われるものと同じなんですけど、収穫後に食品に使われたものは、残留農薬ではなくて、食品添加物の扱いになるんです。
どのタイミングで使われたのかによって、残留農薬か食品添加物の扱いになるかが、違うのですね。
食品添加物の扱いなので、外国産の果物で、防カビ剤が使われているときには、表示義務があります。
スーパーで、このように表示されているのを、見たことはないですか?
TBZ(チアベンダゾール)、イマザリル、ビリメタニルを使用しております。
パッケージや、陳列棚、品名の札などに、このような表示がなければ、防カビ剤は使用されていないことになります。
収穫後の農産物に使用される、このような殺菌剤や防カビ剤のことを、ポストハーベスト農薬という言い方をすることもあります。
防カビ剤は毒性が高いので、外国産の果物を買うときには、防カビ剤に関する表示がないものを購入すると、安心ですね。
また、食べる前に果物の表面をよく洗ったり、皮を厚くむいたりすることでも、対策ができます。
お菓子作りなどで、柑橘類を皮ごと使いたい時などには、防カビ剤が不使用の国産の果物を選ぶようにすると良いです。
安心な輸入バナナの選び方は?
バナナは日本製のものもありますが、多くは外国からの輸入バナナです。
そして、その輸入バナナの、約9割がフィリピン産のものです。
エクアドル産のバナナもありますが、フィリピンは日本から比較的近い国なので、エクアドルよりも短い輸送期間で運べるんです。
バナナは、何日もの日数をかけて、輸入されるために、まだ緑色の状態で運ばれてきます。
黄色いおいしくなったバナナでは、虫がついてしまうためです。
日本に到着したときに、コンテナから害虫が1匹でも確認されると、そのコンテナごと殺虫処理されます。
この処理を、燻蒸処理と言います。
燻蒸処理は、密閉された倉庫の中で、農薬をガス化して殺虫処理するもので、バルサンを焚くときのようなイメージです。
使われるのは主にシアン化水素(青酸ガス)で、化学兵器として使われたこともある猛毒です。
でもシアン化水素は揮発性が高いので、バナナには残留しにくいと言われています。
全ての輸入バナナに行われるのではなくて、害虫が確認されたコンテナだけが、行われる殺虫処理です。
燻蒸処理もちょっと気になるという人は、有機JAS認定の有機バナナが安心です。
このバナナなら燻蒸処理はされていません。
有機JAS認定は「農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないで、自然界の力で生産された食品に認定されるもの」になります。
だから、燻蒸をしてはいけないという条件が、認定の条件にはあるんです。
気になる方は、この有機JAS認定のマークのあるバナナを選ぶと、安心ですね。
有機バナナの害虫対策は、手作業で害虫を駆除したり、なるべく空気に触れないようにコンテナに入れたりと、かなりの手間がかかっています、
そのために、お値段は他のバナナよりも、高くなっています。
その他にも、有機ではないのに、値段が少し高いバナナってありますよね。
そのようなバナナは、標高が高い土地で育てたバナナです。
標高が高いと、寒暖の差が激しいので、バナナが甘くなりやすくて、おいしくなります。
安全性とは別になりますが、甘くておいしいから、お値段が少し高くなっているのですね。
安全を1番に選ぶなら、有機バナナが安心です。
そして、なかなか多くは出回ってはいないですが、日本産のバナナも安心です。
フルーツ専門店や高級スーパー、ネット通販などでは、取り扱っています。
フェアトレードのバナナもある?
バナナには、フェアトレードのバナナもあります。
フェアトレードとは、公平・公正貿易のことです。
発展途上国で作られた作物や、原料、製品を、適正な価格で継続的に購入することによって、生産者や労働者の人たちの、持続的な生活向上や自立を支える貿易の仕組みです。
一方的な国際協力とか資金的な援助は、援助する側の都合によって左右されて、一時的だったり、継続性に欠けるという問題点がありました。
それに対して、フェアトレードは、私たち購入する側が、自分の気に入った商品を買うことができる、身近な国際協力です。
フェアトレードの認証製品で、大きな割合を占めているのはコーヒーです。
それ以外にも、チョコレートやコットン製品、紅茶、スパイス、ごまなど、いろいろな商品があります。
これらの発展途上国で生産されたものは、驚くほど安い価格で販売されていることがあるんです。
植民地として支配を受けていた、アフリカや中南米などでは、ヨーロッパで消費される作物や製品をずっと作ってきました。
でも労働の対価に見合った、正当な対価が支払われずに、貧困から抜け出せずにいました。
植民地時代から、ずっと続いてきた、搾取の構造の中で、飢餓に苦しむ農業労働者の人たちがいるんです。
また、生産量を上げるために、大量の農薬が使われて、環境が破壊されたり、生産する人たちが健康を害してきました。
生産者の人たちの労働環境や生活水準が保たれて、自然環境にも優しい、持続可能な貿易のサイクルを作っていくことが大切です。
バナナも、フェアトレードのものがあります。
日本でも、労働者搾取と、ひどい農薬漬けの、多国籍企業の巨大なプランテーション農園のバナナが、問題とされていた時代があります。
バナナには毒性の強い農薬が使われることが多かったために、農薬漬けのバナナは食べたくないと、人々が問題視していた頃があったんです。
無農薬のバランゴンバナナ
「子どもたちに安心して食べさせられる、無農薬のバナナが欲しい」そんな思いから生まれた、民衆交易のバナナがあります。
それが「バランゴンバナナ」というバナナです。
バランゴンバナナは、フィリピンのネグロス島で栽培されている無農薬バナナのことです。
この無農薬バナナを輸入するために、グリーンコープや生活クラブ生協、当時の首都圏コープなどの生協の組合員さんたちと市民団体が、この「(株)オルター・トレード・ジャパン(ATJ)」を立ち上げました。
10トンのバランゴンバナナが、民衆交易品として、初めて日本の神戸港に届けられたのが1989年のことです。
今では、このバランゴンバナナは、ネグロス島だけでなくて、フィリピン各地で栽培されていて、この「(株)オルター・トレード・ジャパン(ATJ)」は、フェアトレードの先駆者となっています。
輸出する側の主体は、フィリピンのサトウキビ産地として有名だった、ネグロス島で活動している市民団体の活動家でした。
日本の消費者が、フィリピンの小規模農民自立を応援して、安全・安心なバナナを手にできる仕組みとして、バランゴンバナナの民衆交易が始まりました。
フィリピンのネグロス島では、人々は飢餓や貧しさとたたかいながら、子どもたちのためにと頑張る人びとがいました。
いのち・暮らし・自然を守ることをテーマに始まったんです。
これは、輸入商社や専門家が入らない、市民だけで行われた、バナナという傷みやすい果物の国際的輸入の、世界初の試みでした。
しかも輸入されたバナナは、零細農民の人々の、裏山に自生していた地場バナナで、無農薬のバナナでした。
<民衆交易のバナナの条件>
民衆交易品としてのバナナには、いくつか条件がありました。
ネグロス島にあるもので、ネグロスの人たちが、自分たちの環境を破壊しないで、手軽に栽培ができるもの。
農薬漬けのバナナではなく、食べる側にも作る側にとっても、安全なこと。
そして地元の人々の地域経済に、影響がないもの、という条件もありました。
バランゴンバナナは、フィリピンの地元では、あまり消費されない種類のバナナでした。
そのため、日本に輸出しても、地域の人々の食生活や、市場価格への影響は少なく済みます。
そして大切なのが、民衆交易を通して、ネグロスの人々の暮らしと、日本人のライフスタイルの変革が期待できることという点です。
ネグロスの人々の自立支援と、無農薬の健康に良い食品を自分で選ぶという、日本人のライフスタイルの変革により、ネグロスの人々の暮らしと日本の人々の暮らしが、両方とも向上すること。
バランゴンバナナは、作る人と食べる人が、共に支えあう関係を作りながら届けられる、無農薬で安心して食べられる、フェアトレードなバナナです。
バランゴンバナナはどんなバナナ?
バランゴンバナナは、除草剤などの化学合成農薬や化学肥料に頼らずに、手間暇をかけて育てられます。
収穫後の処理でも、防カビ剤や防腐剤などは使われていません。
ただ、日本に到着したときに、コンテナから害虫が出ると、燻蒸処理されることはあります。
スーパーに並んでいるバナナは、きれいな黄色で、大きさも揃っていて、見た目もおいしそうですよね。
それに比べて、バランゴンバナナは、大きさにばらつきがあって、皮の表面に傷なども目立ちます。
フィリピンのいろいろな土地の、多様な栽培環境で育ったバナナは、大きさも同じというわけにはいきません。
それに収穫後も、人々がかついで山道を運んだり、舗装されていない山道を、トラックに揺られて運ぶので、傷がついてしまうんです。
そして防カビ剤などは、一切使っていないので、一般的なバナナとは違って、軸の部分から黒くなったり、カビが生え始めたりすることがあります。
でも皮をむけば、中はきれいで、問題なくおいしく食べられます。
バランゴンバナナは、フィリピンではあまり流通されていないバナナですが、濃厚なコクのある味わいと甘みで、日本人の味覚にはよく合います。
我が家でも、あいコープみやぎの宅配を通じて、よく注文していますが、子どもたちと一緒に、おいしくいただいています。
プランテーション労働者の、健康と引き換えに作られたものではなく、農薬漬けのバナナでもない、安心なバナナを選んでみませんか?
まとめ
スーパーにいつでも並んでいて、とっても身近なバナナについてお伝えしました。
私たちが食べているものは、自分で作っていなければ、誰かがどこかで育ててくれたものです。
私たちの手元に届くまでに、どのように栽培されているのか、考えてみるのも良いですね。
手間暇をかけて栽培されたものだと知ると、自然と感謝の気持ちがわいてきますね。
フェアトレードのものは、バナナ以外にも様々なものがあります。
興味のある方は、是非いろいろと調べて、ご自分の生活に取り入れてみてくださいね!
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