牛や豚などの畜産が環境破壊につながっている、という話を聞いたことはありますか?
日本でも暮らしが豊かになり、肉類や乳製品の消費量が増えて、食生活が欧米化していると言われています。
畜産が増えることで、世界でも様々な問題が起こっています。
畜産が地球環境に与える影響について、お伝えしたいと思います。
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畜産の拡大、その影響は?
世界で畜産が拡大することで、地球環境もその影響を受けていると言われています。
その影響とは何でしょうか?
1つずつお伝えしてきたいと思います。
森林破壊
牛などの家畜を飼育するためには、広い牧草地が必要になります。
その新しい牧草地を確保するために、地球にとって、とても大切だと言われている生命の宝庫の、熱帯雨林が毎年のように伐採されています。
新しい牧草地を作ることが、森林伐採の主な原因になっていて、アマゾンの広大な森林が、既に牧草地に転用されています。
熱帯雨林の大規模な伐採は、地球全体への影響も懸念されています。
大量の飼料用穀物と水の消費
家畜の生産には、大量の穀物などの餌が必要です。
また、家畜用飼料を生産するために使われる土地も、広大な土地が必要です。
飼料用穀物の生産性を上げるために、化学肥料や大量の農薬が使われます。
広大な土地の土壌が、化学物質や家畜の排泄物で汚染されています
収穫後にも、腐敗を防ぐために、農薬が使われています。
また、その穀物のほとんどは、遺伝子組み換え穀物です。
さらに家畜の飼育には、作物を生産するよりも大量の水が消費されます。
豊かになった国々の、肉の需要は年々増加していて、飢餓で苦しむ人々が大勢いる中で、大量の穀物が家畜の餌となって消えています。
畜産は、実はとても生産性の低いものなんです。
メタンガスが温暖化に影響
メタンガスは、温暖化に影響しているとされるCO2以上に、強力な温暖化作用があるものです。
畜産で飼育される動物の中でも、特に牛から排出されるメタンガスは、深刻だとされています。
牛や羊、山羊などは、一度飲み込んだ食物を、また口の中に戻して、再び咀嚼して飲み込む、反すう類と言われる動物です。
反すう動物は、4つの胃を持っていて、消化はとてもゆっくり時間がかかるため、発酵が起きやすくなります。
そのため、反すう動物はみんな、おならやげっぷでメタンガスを排出します。
畜産では、このメタン発酵や糞尿管理によって、大量のメタンガスが排出されています。
このメタンガスの、気温上昇や温暖化への影響は、深刻だと言われています。
抗生物質やホルモン剤の問題
家畜の飼育で使われる、抗生物質や合成抗菌剤の問題があります。
病気の予防などのために、抗生物質が投与されるたびに、細菌はそれに対して、変異を起こして、すぐに耐性を獲得していきます。
抗生物質を使い続けていると、細菌の薬に対する抵抗力が高くなって、薬が効かなくなっていきます。
家畜の体内に耐性菌ができると、食品や排泄物を通じて、人にも広がる恐れがあります。
薬が効かない菌が増えるのは、とても危険なことで、世界でも問題視されています。
まとめ
畜産の環境への影響について、お伝えしました。
肉や乳製品は、とても美味しいですし、毎日の食生活になくてはならないものになっているという人も多いですよね。
元々牧草地だった土地を使って、飼料の安全や動物たちの健康に配慮しながら、なるべく地球環境にも、人にも動物にも優しい畜産を心がけている人たちもたくさんいます。
その一方で、世界では畜産拡大のために、大規模な熱帯雨林の森林伐採なども行われています。
近年では世界でも、肉や魚を食べないベジタリアンや、肉や魚に加えて、卵や乳製品など動物由来のものも一切口にしないという、ビーガンの人たちも増えてきているようです。
自分の価値観や考え方に合わせて、食生活のスタイルなども、考えていきたいですね。
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