「自然農法」という言葉を聞いたことはありますか?
似ている言葉に「有機農法」というものもありますが、それともまた違います。
私はこの自然農法の考え方に初めて触れた時、衝撃を受けました。
今まで知っている概念とは、全然違った考え方だったからです。
私が知っている自然農法について、また人間の自然農法的な生き方についてお伝えします。
農業の自然農法とは?
「自然農法」とは、太陽や空気、水や土などの自然界の生態系が持つ、物理的・化学的・生物的な相互の仕組みと働きを活かした栽培方法です。
山や空き地などの自然では、誰も肥料を与えていないのに、いつでもちゃんと木や草が青々と茂っていますよね。
これは自然界にある酸素や窒素、何億もの微生物、日光や雨の水など、自然界にあるたくさんのものを使いながら、植物が生態系の中で自分で栄養を作り出しているからです。
そこに人間の介入は、全く必要ないんですよね。
自然農法はたくましく自生している植物たちのように、自然界に元々備わっている仕組みや働きを生かして、土や作物に人の手をできるだけ加えずに栽培する農法です。
自然環境への負荷やダメージもなく、自然界と調和して行うのが自然農法になります。
有機農法や有機栽培とも違う
よく自然農法と似ていると思われる農法に「有機農法」というものがあります。
有機農法で作られた野菜は、農薬が使われていないと思われがちです。
でも有機で認められている有機農薬や有機肥料は使われています。
例えば、有機農薬は食酢やケイソウ土粉剤、生石灰、重曹、シイタケ菌糸体抽出物液剤などで、有機肥料は油粕、魚粉、鶏糞、米ぬか、草木灰などです。
これに対して自然農法は、自然界の摂理に合わせて行うので、農薬や肥料などは一切何も使いません。
自然界に自生している植物は、農薬も肥料もなくてもちゃんと生き生きと育ちますからね。
農薬も肥料も一切使わないというのが、他の農法と自然農法の大きな違いの1つになります。
それらのものには頼らずに、植物と土が持っている本来の力を引き出して、自然の仕組みや働きを最大限に生かしていく栽培方法になります。
でも作り手が作ろうと意図した農作物を、自然な形で植物が自生している場所に手を加えて作るのですから、そのためにはそれに合った土作りや環境作りが必要です。
肥料や農薬に頼ることなく、自然界の法則を最大限に生かして田畑作りに応用していくためには、知識や努力も必要ですし、自然から学び自然に寄り添いながら行っていくことが大切になります。
自然農法はただ手を加えずに、そのまま放置しておけばいいということではないんですね。
人の手が全く入っていない放置された人工林の山は、荒れ果てていくという話を聞いたことはありますか?
植林されたもののそのまま放置されていた人工林は、生長と共に日光も入らなくなり、草も生えにくくなって、雨が降ると地面の土が流されてしまいます。
適切な間伐をすることで、光が入り健康的な林が保てるのですね。
そのように人工的に作られた自然は、ある程度人の手が入った方が、生態系が豊かに循環していくことがあります。
自然農法も人が農作物を育てようとした時点で、完全な自然の状態ではなくなるので、放置するのではなくて自然の摂理に寄り添った適切な管理が必要になるということですね。
世界でもトップクラスの日本の農薬使用量
日本は農薬の使用量が、世界の中でもトップクラスに多い国だということをご存じですか?
主要国の農薬使用量ランキングでは、中国・韓国・日本がトップ3でとても多くなっています。
1つの野菜を作るのに、栽培期間中に60回も農薬を使うことがあります。
3個の農薬をまとめてまいた場合、それは3回と数えられます。
種の段階から、種子消毒などで薬が使われることもあります。
よく野菜に虫がつくと「虫が食べるくらいおいしい野菜だから虫がついた」と言われることってありませんか?
「農薬を使っていると虫も食べない」とか。
有機栽培や有機農法では、虫が発生することがあります。
そうすると有機で認められている重曹や草木灰、木酢液などの有機農薬は使えますが、化学的な農薬は使えません。
そのため、1匹1匹虫を手作業で取り除くこともあり、虫や病気に対しての苦労が出てきます。
でも自然栽培では、そもそも虫や病気がつかないのだそうです。
自然栽培の野菜はとてつもなくおいしいのですが、虫は食べません。
虫が食べるのは無農薬で野菜がおいしいからではない、ということですね。
自然農法では虫や病気と戦わなくていいですし、しかも美味しい野菜ができます。
ではどうして虫や病気が付く野菜と、付かない野菜があるのでしょうか?
有機でも肥料にはリスクがある
自然栽培の考え方で見ると、人工的に合成された化学系だけではなく、自然のものを利用した有機系であっても、肥料にはリスクがあると考えます。
自然栽培では一切、畑にあるもの以外に、外からは何も入れません。
一般的な有機栽培で使われる、米ぬかやワラなどの稲から出たものも、水辺の作物の稲は本来その畑の場所にとっては不自然なものになります。
そのため自然界は、その不自然を自然な状態に戻そうとして自浄作用が働きます。
自浄作用のプロセスとして虫が発生したり病気が発生して、結果的に農薬が必要になってしまうんです。
反対に考えると、本当に自然の循環の法則が働けば、虫もつかず病気にもならないので、一切農薬は必要ありません。
実は農薬が必要になってしまう原因の1つは、肥料を使うことだったんですね。
地球には浄化システムがある
自然界には不自然を自然な状態に戻そうとする自浄作用があります。
私たちが暮らすこの地球には、このように浄化のシステムがあります。
山の木々や草原の草たちは、なぜ病気になったり虫の被害を受けないのでしょうか?
人間が作る野菜や米などは、なぜ病気や虫の被害を受けるのでしょうか?
それにはこの地球の浄化システムが関係しています。
自然界は完全な調和が保たれていて、循環しています。
その自然界のバランスが崩れると、そのバランスの乱れを元に戻すために、虫や病原菌がやってきます。
虫はまだしも、病原菌なんて悪者にしか思えなかったりしますよね。
でもこの世界に存在する物は全て、役割や意味があって存在していると言われています。
必要ではないものや、役目のないものは1つもないんですね。
虫やカビ、細菌類、病原菌やウイルスなどにも、実は大切な役割があります。
それは汚れた物や汚い場所に生息して増加し、それらを分解してきれいにして、土に戻すという役割です。
動物の糞などを分解して土に戻し、それが栄養分になって植物が茂ったり、果実や農作物が実ります。
ウイルスや細菌がいなければ、私たち人間も生きてはいけないんです。
虫や病原菌たちは自然界をきれいにしたり、バランスの乱れを元に戻してくれる、とても大切なお掃除屋さんの役割を果たしています。
「風の谷のナウシカ」の腐海の森と同じイメージですね。
汚れた場所や不調和が起きているところを、実はきれいにしてくれているのですね。
人が畑に使った肥料は、自然物を使った有機栽培の有機肥料であっても、自然界のその場所にとっては異物になります。
その養分を使って確かにその時には野菜が大きくなりますが、掃除が必要になって、その後は虫や病原菌がやって来ます。
害虫も病原菌もウイルスも雑草も異常気象も、その場を正常に戻す役割が必要で、それを果たしているだけというのが自然農法の考え方です。
いくら虫や害虫やウイルスを殺したところで、その場所は掃除が必要なので何も根本的な解決にはならないのですね。
「害虫や病原菌に野菜がやられたのはなぜ?」「どうして病気になったの?」と私たちは考えますが、その理由は自然界のバランスの乱れが起きているからということになりますね。
人間も自然の摂理に合った生き方ができる
ここまで簡単に、自然農法の考え方についてお伝えしました。
実はこれは農業に対してだけ当てはまる考え方ではなくて、人間の生活や生き方にも同じように当てはまる考え方なんです。
人間も植物や動物、昆虫などと同じで、地球上にある自然の一部です。
それならば、自然栽培の仕組みを人間に当てはめたら、人間も自然栽培人間になって虫も病気もつかず、健康に大往生できるかもしれないと思いませんか?
農作物の栽培だけではなくて、人間も自然の摂理に合った生き方ができるんです。
よく医療費の問題について言われますよね。
この60年間で人口が2倍にもなっていないのに、医療費は180倍に膨れ上がっているそうです。
私たちは何のために働いてお金を使っているのでしょう。
病気になることを前提に、それに備えて保険に入って、心身の不調が起きたり病気になっては病院に通っています。
病気にならない人生は送れないのでしょうか?
その時にこの自然農法の考え方がとても参考になります。
人間にも起こる自浄作用
農作物にとって病害虫の発生は、汚れたところや不調和が起きている場所をお掃除するという働きがありました。
この地球の浄化のシステムは、人間にも同じように当てはめて考えることができます。
病気とは汚れたところを掃除してきれいにしたり、調和のズレを治す働きがあって、それは浄化のプロセスになります。
体や血が汚れていたり心身の不調和が起きているから、それを浄化したり、バランスを整えるために病気になったり、いろんな症状が出るんですね。
人間も必要があって、細菌類やウイルスが掃除しに来た状態と考えられます。
人間の生き方にも第3の選択肢がある
自然農法は農業の中では第3の選択肢と考えることができて、これを人間の医療にも当てはめることができます。
①化学的な農薬を使った現代農業
=人間で言うと西洋医学の対症療法。
②化学的な物を使わない有機農法
=漢方などの東洋医学や、アロマなど自然な物を使った療法、ホメオパシーや代替医療など。人間で言うと医療費がかかる栽培方法。
③自然農法
=医療費がかからない健康的な栽培方法。
この中のどれが良いと考えるかはその人の価値観です。
自分にとって心地良い、自分に合った方法を選択することができます。
でも現代人は西洋医学の対症療法しか知らなくて、第2の選択肢の東洋医学や代替医療が存在するということを知らない人も、まだまだ多いですよね。
ましてや第3の選択肢の自然農法的な生き方があるということは、知らない人がほとんどだと思います。
自然農法的な人は元々が健康なのでお掃除の必要がなく、病気や病原菌、ウィルスなどもやって来ません。
もし何か症状が出たり病気になったら、それはお掃除なので何もせずじっとお掃除が完了するのを待ちます。
でも薬も使わずにただその状況がおさまるのを待つのって、とても大変ですよね。
ですが病気になることが自浄作用で自然なことだとしたら、変に戦わなければ痛みで苦しまなくても良いかもしれないんです。
ガンになった人は、抗がん剤などを使って医療を施すと、その後に大変な痛みと戦うことになります。
でも本来ガンは、戦わなければ病状はゆっくりと長い年月をかけて進み、自分の心の準備や身辺整理もできて、最後は体に備わっているホルモンなどの働きもあって、穏やかに人生を終えることができるそうです。
(コロナワクチンが出てきてからのターボ癌などの不自然なガンは、また別の話になります)
私はこれに関する詳しい本を何冊か読んで、病気や様々な菌、ウィルスなどをどう捉えるのか、これが人生ではとても大きい意味を持つのではないかと思うようになりました。
特に自然農法を突き詰めていくと、現代で言われている栄養学なども関係のない世界になっていきます。
でも栄養学の中で教育され育ってきた世代としては、すぐには理解できない概念でした。
栄養学という「栄養神話」は、メーカーの宣伝で、試験管の中ではそうかもしれないけど、人体の中ではそのような反応はしない場合が多いそうです。
例えば、ビタミンCのサプリメントを飲んでも、体は排出してそのまま尿に出てしまうというようなことが起こります。
人体の仕組みとしては、この栄養が必要だから、ただサプリメントにしてとればいい、ということではないんですね。
私たちを取り巻く自然界の法則や働きは、完璧な調和の元に働いているとても深い世界であり、そして現代人はそれとは全く違う考え方や生き方をしています。
生命は自分に必要な栄養は自分自身で生み出せるという、栄養学や肥料学ではない世界があるそうです。
農業において窒素・リン酸・カリの栄養学を捨てるということは、人間も栄養学を捨てて「生命学」を学ぶということになります。
自然栽培の世界では「有効成分・薬効成分・効果・効能」と「反動・副作用」はセットであると考えます。
肥料や農薬を入れると、自然は虫や病気で清算するように、自然療法であろうと、何か有効成分や薬効成分を体内に取り入れたら、何かしらの反動や副作用が体内では起こっているということですね。
医者にも薬にも頼らない、自然学や生命学を生かした生き方が、これからの時代は大切になってくるのかもしれませんね。
浄化システムが必要ない生活
地球上にある浄化システムが働くと、私たち人間にも病気や様々な病原菌やウィルスがやって来ます。
心身に不調や病気を抱える人が多い現代では、彼らが働かなくても良いように、人間が考え方や生き方、ライフスタイルを変えて、戦わないライフスタイルになることが大切です。
自然栽培は土壌消毒も殺菌剤も使いません。
でも私たちは手の消毒をしたり、身のまわりの物の消毒や殺菌をしていますよね。
殺菌をするということは、悪い菌がいなくなりますが、そこで働いていた良い菌も殺すことになります。
そうすると最初に復活してくるのはどちらの菌かというと、良い菌ではなく悪い菌の方なんだそうです。
それではどんどん不自然な状態になっていきますね。
世の中では抗生物質の利用など薬の使われすぎで薬剤抵抗性がついて、薬が効かない菌がどんどん出てきています。
畜産の分野では、牛や豚が病気にならないように予防のために、抗生物質などの薬剤が使われたりします。
自然農法では細菌やウイルスが敵だという概念はありません。
細菌やウイルスは正常に戻す働きをしています。
菌と戦わずに、それらをどのように受け止めて、菌やウイルス、病気と共存していくかが大切ですね。
発熱し体温を上げる意味
医者にも薬にもワクチンにも頼らない生き方は可能だという考え方があります。
これからの生き方は足し算から引き算への方向転換が大事で、それによって誰にでも寿命はありますが、その人にとっての寿命は全うできるという考え方です。
医学の父ヒポクラテスは「私に熱を出す力を与えてください。そうすれば全ての病気が治ります」と神様に祈ったそうです。
発熱して体温を上げるということは、それだけ病気を治す働きがあるということですね。
発熱の仕組みは、ウイルスなどが介在することで稼働することができます。
白血球は平熱ではウイルスを処理する働きが弱いので、白血球の処理活動の働きをあげるには、体温が40度の状態でピークになるそうです。
途中で解熱剤で下げたり、いろんな薬が介在すると、長引いたり重症化しやすくなります。
かかったらありがたいなぁと感謝して寝ていれば良いと言いますが、それがなかなか普通の人はしんどいですよね。
風邪は万病の予防、病気は身体の不調和を正常に保つ手段だったということですね。
ウイルスは敵ではなく、お掃除役です。
ウイルスはそのスパイク棘にあった受容体がないと体内には入れないのですが、体がそれに合った受容体を作っているそうで、体の方が入ってくれと呼んでいるようだと、私が学んだ自然農法の実践家の方はおっしゃっていました。
風邪をひくということは、体自身が必要と判断して、自分で決めてウイルスを引き込んでいると。
そして熱によって体内の毒素を出してリセットしてくれているということなんですね。
自然免疫と獲得免疫
私たちには生まれた時に持っている自然免疫と、感染したことによって得られる獲得免疫があります。
獲得免疫と自然免疫は連動していて、獲得免疫が多いほど自然免疫も大きくなり、免疫力が高いということになるそうです。
よく「この食べ物で免疫が上がります!」というような表現をされることがありますよね。
でも「免疫力を維持する」という表現なら良いですが、免疫を食べ物で上げられるという仕組みは、体にはそもそもないそうです。
「免疫」というものは、鼻や喉の粘膜を菌やウイルスが通過して感染しないと上がらないし、抗体はできないのだそうです。
だから、いろんなものに感染して乗り越えた方が「獲得免疫」は上がるんですね。
生まれた時に母親から、不自然な有害な物ももらって、子どもに引き継がれます。
お産は最大のデトックスという言い方をされることもあるくらいです。
引き継がれた有毒物を処理するためには、ウイルスの力を使うしかありません。
早いうちに排出して、健全な体で人生を生きた方がいいですよね。
そのためには小さい頃に、たくさん子どもがかかるいろんな感染症にかかったり、症状を出して排出できた方がいいのかもしれません。
もちろん母心としては、風邪にも感染症にもかからずに元気に育って欲しいですよね。
でも本当に我が子の健康な身体を考えたら、たくましく育てて多少風邪を引いたり、保育所や幼稚園の集団生活の中で、いろんな感染症にもかかっていた方がいいという考え方も、あるのかもしれません。
自然農法的な考え方でいうなら、感染症にかかると体がきれいになり、そしてその分、獲得免疫も上がるということなのですから。
なるべくシンプルで自然な物を選ぶ
現代社会で、そもそも大往生はできないのでしょうか?
現代の食は加工品の世界で、加工する過程で驚くほどたくさんの薬品や添加物が使われています。
また、食材の栽培の世界でも農薬や化学肥料など、たくさんの薬品が使われています。
健全な土からは健全な食ができて、それを食べれば健全な体ができるのは当たり前ですよね。
でも現代は病んだ土から病んだ食ができていて、それを食べて病んだ体ができています。
たまたまなってるのではなく、人間の選択で起きていることです。
体と心はつながっているので、それでは心も病んでしまいますね。
毎日の積み重ねが、年齢を重ねた時の大往生につながっていきます。
毎日どんな食事を食べているのか、その積み重ねはとても大切ですよね。
病気になる人とならない人の違いは、判断や選択の違いで、それは自分自身で選ぶことができます。
現代人は現代社会の生活の中で、だいぶ麻痺してしまっているところがあります。
でもなるべく本来の自然な食べ物や、不自然な物を使っていないシンプルな日用品、住環境などを選んでいきたいですね。
体に起きたことは、体からのお知らせでメッセージです。
自分の体の声にもしっかりと耳を傾けられる、そんな生活をしていきたいですね。
まとめ
自然農法の考え方や、それを人間の生き方に応用した、自然農法的な生き方についてお伝えしました。
様々な社会毒にまみれている現代社会だからこそ、知っておきたい大切な考え方なのではないかと思います。
ぜひ皆さんのより良い暮らしや人生のために、この考え方をいかしていただけたら嬉しいです。
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