ウイルス対策には、手洗いが有効と言われています。
なぜ手洗いが有効なのが、その仕組みについては知っていますか?
どんなハンドソープでも、20秒洗いなどの正しい手洗いを実践すれば、ウイルスを除去することはできます。
でも実は、合成のハンドソープよりも、昔ながらの自然な素材で作られた無添加石けんの方が、ウイルスの破壊力が高いという研究結果があります。
これからは、ウイルス対策のためにも、無添加石けんを選ぶ人が増えていくかもしれませんね。
ウイルスの構造は?
ウイルスと言っても、いろいろな種類があります。
ウイルスの粒子は一般的に、エンベロープという、油のような脂質の膜で覆われています。
このエンベロープの多くは、脂質二重層という二層の膜になっています。
新型コロナウイルスも、このエンベロープと呼ばれる膜に覆われています。
ウイルスの大事な核になっている、情報が詰まったRNAというリボ核酸を保護しているのが、この脂質の膜です。
そして、ウイルスの丸い球状の周りからは、スパイクと呼ばれるタンパク質の突起が、たくさん突き出ています。
その様子が、太陽から出ている光の部分の、太陽コロナのように見えるので、コロナウイルスと言われています。
コロナウイルスもインフルエンザウイルスも、エンベロープの脂質の膜に覆われていて、タンパク質の突起のスパイク突き出している、共通した構造をしています。
なぜ手洗いが効果的なの?
石けんには、界面活性剤というものが含まれています。
本来、水と油は混じり合いませんが、界面活性剤は水と油を混ぜ合わせる働きがあります。
この働きによって、例えば食器洗い洗剤なら、食器についた水だけでは落とせない油汚れも、水と油を混ぜ合わせて溶かし、洗い流してくれるんですね。
手洗いも一緒で、界面活性剤の働きで、手の表面の水だけでは落とせない汚れを、洗い流してくれます。
特に油の膜で覆われたウイルスは、水をはじいてしまうので、水だけの手洗いでは落とすことができません。
でも、石けんを使えば、石けんに含まれる界面活性剤によって、ウイルスを覆っている油の膜が溶けて、ウイルスはバラバラになります。
そのために、ウイルス対策には、石けんでの手洗いがとても有効なんですね。
心がけたい20秒手洗い
石けんを使った手洗いをすれば、ウイルスの周りの脂質の膜を溶かして、ウイルスをバラバラにすることができます。
バラバラになれば、油の膜はないので、水で洗い流すことができます。
でも石けんでこの脂質の膜を壊すのには、ほんの少し時間が必要です。
その時間が、約20秒と言われています。
さっと石けんをつけて流しただけでは、ウイルスの膜は壊せないんですね。
たった20秒のようですが、実際にやってみると、ちょっと長めの丁寧な手洗いを自分で心がけないと、20秒にはなりません。
ウイルス対策のためには、20秒以上の手洗いを心がけていきたいですね。
自然派石けんのウイルス破壊力
livedoorNEWSで、とても興味深い情報を見つけました。
livedoorNEWS
コロナにも? 自然素材石けんは合成洗剤の「1000倍のウイルス破壊力」 天然由来成分に驚きの効果を発見
https://news.livedoor.com/article/detail/18200530/
こちらの情報では、長年にわたって、ウイルス不活性化の解明に取り組んできた、広島大学大学院、北九州市立大学、シャボン玉石けん(北九州市)の研究者チームの、2019年に発表された研究結果が伝えられていました。
インフルエンザウイルスの実験で、合成の界面活性剤に比べて、自然素材無添加石けんの界面活性剤の方が、インフルエンザウイルスの破壊能力が、100~1000倍も大きいことが明らかになったということです。
ハンドソープや食器洗い洗剤、お風呂の洗剤、シャンプーなどの洗浄剤に含まれる界面活性剤には、大きく分けて2つの種類があります。
1つは人工的に化学合成されて作られた、合成界面活性剤です。
そのような合成界面活性剤を使った洗剤を、合成洗剤と言います。
もう1つは、天然由来の自然素材を使った界面活性剤です。
動物や植物からとれる油脂と、アルカリを反応させて作ります。
元々の石けんの始まりは、昔の人々が肉を焼いていたときに、したたり落ちた肉の油が、アルカリ性の灰と混ざり合って、偶然できたのが始まりだと言われています。
天然由来の石けんの原料には、牛脂、豚脂、パーム油(アブラヤシの果肉)、パーム核油(アブラヤシの種子)、大豆油、オリーブオイル、ココナッツオイルなどが使われます。
この自然素材を使った石けんの方が、インフルエンザウイルスの破壊能力が、100~1000倍も大きいことが明らかになったんですね。
コロナウイルスもインフルエンザウイルスと同じように、エンベロープの脂質の膜に覆われていて、タンパク質の突起のスパイク突き出している、共通した構造をしているので、同じ効果が期待できると考えられています。
なぜ自然派石けんが驚く破壊力なのか
ウイルスを覆っている、脂質の膜のエンベロープは、石けんを使うことで溶けます。
研究チームによると、電子顕微鏡で見たときに、濃度が高い合成系界面活性剤では、予測の通りウイルスはもとの形がわからないほど、バラバラになっていたそうです。
一方、自然素材無添加石けんの界面活性剤は、濃度が低くてもウイルスに穴をあけていた、とのことでした。
それは、界面活性剤が、球状のウイルスから突き出している、タンパク質の突起のスパイクにとりつき、スパイクを引き抜いていたからだそうです。
界面活性剤の濃度によって、効果に差はありますが、合成のハンドソープでもインフルエンザウイルスを壊すことには変わりありません。
でも、合成のものと比べて自然系のほうが、ウイルスの油の膜を壊すだけではなくて、ウイルスのスパイクの突起を引き抜いて、壊し方が100~1000倍と大きいという研究結果でした。
一般的に売られているハンドソープなどの洗浄剤は、低コストで大量生産ができる、合成洗剤がそのほとんどを占めています。
意識的に自然派石けんを選ばなければ、普通にスーパーやドラッグストアで手に取ったなら、そのほとんどは合成界面活性剤を使った製品だと思います。
少しでもウイルス対策の効果を高めたいという人は、意識的に無添加のハンドソープを選んでいきたいですね。
石けんの抗菌作用は必要?
また、石けんに関して、こんな話もあります。
スーパーやドラッグストアなどに行くと、ハンドソープはいろいろな製品が並んでいますよね。
抗菌作用や殺菌作用のある製品もたくさんあります。
そのような作用のあるハンドソープの方が、ウイルス対策には効果があるのでしょうか?
これに対して、ニューサウスウェールズ大学の、超分子化学の専門家であるポール・サンダーソン氏はこう話しています。
「それらはウイルスの構造にはまったく影響を与えないので、普通の石けんには勝てない。多くの衛生用品は、石けんの高価なバージョンに過ぎない。」
ということは、普通にシンプルな無添加石けんを選ぶことが、一番効果的ということですね。
自然素材の無添加石けんでも、固形のものだけではなくて、液体タイプや泡タイプのものもあります。
それに、容器に無添加の文字があったとしても、香料だけが無添加なのかもしれないですし、間違えやすいような表記の仕方をしている製品もあります。
ハンドソープは、1日に何回も使う物なので、しっかり成分を確かめて、固形石けんだけではなく、自分の使いやすい形状のものを選びたいですね。
手洗いで手荒れする
界面活性剤は、ウイルスを効果的に洗い流してくれます。
感染予防に、こまめに手洗いをしている人がきっと多いですよね。
でも、1日に何回も20秒以上の手洗いをしていると、手が乾燥したり、手荒れしてきますよね。
界面活性剤の影響や、手洗い後に手の水が蒸発するときに、角層内部の水分や保湿成分も一緒に奪われて、手荒れが進みます。
医療現場で、どれくらいの頻度で手洗いをして、どれくらいの手荒れが出ているのかという調査研究が、2017年に北九州で行われていました。
北九州市の小倉記念病院感染管理部、北九州地域感染制御チーム、産業医科大学病院感染症制御部、シャボン玉石けん感染症対策研究センターが行ったものです。
研究の中で、合成系のハンドソープに代わって、自然素材無添加石けんの「手洗いせっけんバブルガード」を使いはじめたところ、手荒れは約5割に減少したそうです。
「自然素材無添加石けん」は合成の界面活性剤を使ったハンドソープよりも、肌にやさしいということです。
合成の界面活性剤は肌バリアを壊す上に、自然界にはない物質で、分解されにくい性質があります。
自然素材の無添加石けんを選ぶことは、ウイルス対策や肌のためになるだけではなく、環境を大切にすることにもつながります。
アルコール消毒は効果的
石けんを使った手洗いだけでなく、手指をアルコール消毒することも、コロナウイルスの対策として効果的だとされています。
消毒液に含まれるアルコールが、石けんと同じような働きをして、ウイルスを覆う膜を破壊し、ウイルスを殺すことができます。
でも、アルコールが入っていれば、何でも効果があるのではありません。
アルコールが60%を超す濃度になると、脂質を溶かす作用がとても強くなります。
60%以上のアルコールを含む消毒液でなければ、ウイルスに対して効果を発揮しません。
市販されている濃度60~80%のアルコール消毒液は、石けんと同じ仕組みでウイルスを不活性化させます。
でも、石けんでの手洗いと違って、ウイルスごと洗い流してきれいにする作用はないので、石けんを使った手洗いがやはり一番効果的です。
それから、アルコール消毒は、手が乾くと同時にウイルスを破壊します。
手がぬれていると、消毒液の効果が落ちてしまいます。
手が濡れているときには、乾かした状態で使うようにしたいですね。
まとめ
無添加石けんによる20秒間の手洗いが、ウイルス対策にはとても効果的です。
アルコール消毒も有効ですが、一番は20秒間の丁寧な手洗いが大切になります。
私も子どもが生まれてからは、ずっと無添加の洗浄剤やせっけん洗剤を使っています。
実際に合成の製品よりも、手荒れしにくいことを実感しています。
今世界中が注目しているウイルス対策に、無添加石けんがとても有効ということで、これからは人にも地球環境にも優しい石けんが、世界の主流になっていくと良いですね。
天然油脂など自然素材だけを原料にして、人にも環境にも優しい石けん洗剤を作っている会社やメーカーさんはいろいろあります。
「シャボン玉せっけん」や「太陽油脂」は有名ですね。
これを機会に、ウイルス対策と共に、人にも環境にも優しい生き方に切り替えたいという人は、是非調べてみてくださいね!
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