焦げたところを食べるとガンになるって、聞いたことはないですか?
私は子どもの頃にそう聞いて、焦げをなるべく食べないように気を付けていたことを思い出します。
それって昔から言われていたことなんですが、今ではきちんと説明されていて、その情報はよく目にするようになりました。
焦げに含まれる、発がん性のある物質の「アクリルアミド」や、家庭でもできるその対策について、お伝えしたいと思います。
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家族と自分の健康は自分で守る時代、できることから少しずつ
アクリルアミドとは?
昔から焦げを食べるとガンになると言われていましたが、その原因となる物質が、発がん性のある
「アクリルアミド」と呼ばれる物質です。
これに関しては、スウェーデンの国立食品局の研究報告で指摘され、世界中に広まりました。
発がん性のあるアクリルアミドは、高温で調理された、炭水化物を多く含む食品で多く検出されたと報告されています。
このアクリルアミドは、家庭でもよく食べられている、一般的な食品や料理からも、検出されました。
特に、私たちの身近な食品の、ポテトチップスやフライドポテトなどから多く検出されたということで、世界や食品業界に大きな衝撃を与えました。
アクリルアミドは、食品に含まれるアミノ酸の「アスパラギン酸」と「糖類」が反応してできる物質です。
120℃以上の高温の加熱調理で、化学反応を起こして、アクリルアミドができることが分かっています。
アスパラギン酸は、アスパラガスから発見された成分で、ジャガイモ、豆類などの野菜や、魚介類、肉類など様々な食品に含まれているものです。
特に、穀類や芋類、豆類、野菜類に多く含まれています。
アスパラギン酸も糖類も、食品にごく普通に含まれている、一般的な物質で、体には必要な栄養成分です。
食品に含まれるいろいろな物質は、加熱によって分解されたり、他の物質に化学変化したりしますが、その中で、アスパラギン酸と糖類からは、アクリルアミドができてしまうんですね。
食べ物の焦げにも入っているのが、このアクリルアミドです。
昔から焦げた部分を食べると、ガンになると言われていたのは、嘘ではなかったんですね。
アクリルアミドは、もともとプラスチックなどの工業製品の原料としても使われていました。
神経や肝臓への毒があるということで、「劇物」に指定されていて、取り扱いには注意が必要な、とても有害な化学物質です。
それが、私たちが何気なく口にする食べ物の中で発生しているというのは、驚きですよね。
他にはどんな食品に含まれる?
アクリルアミドは、ポテトチップスやフライドポテトの他に、どんな食品に含まれるのでしょうか?
炭水化物を多く含んでいる材料を、120℃以上の高温で加熱調理した食品には、含まれている可能性があります。
ポテトチップス、フライドポテト以外にも、じゃがいもを揚げた料理やお菓子類はたくさんありますよね。
それから穀類を使った、ビスケットやクッキーのような焼き菓子、コーヒー豆、ほうじ茶など、高温で焙煎した食品にも、アクリルアミドが高濃度に含まれていることが分かっています。
アクリルアミドはとても水に溶けやすいので、抽出したコーヒー、ほうじ茶などの飲料にもアクリルアミドが含まれています。
また、市販の加工食品だけではなくて、家庭で調理する時にも、アスパラギン酸と糖類、そして120℃以上の高温調理の、アクリルアミドが生成する条件がそろえば、できる可能性があります。
例えば、揚げ物や炒めもの、手作りの焼き菓子、トーストしたパンなどにもアクリルアミドが含まれていることが確認されています。
食品ではありませんが、身近なものでは、タバコの煙にもアクリルアミドが含まれています。
対策はどうする?
つまり、身近な食品や家庭での何気ない料理に、このアクリルアミドが含まれている可能性があるということです。
全てを防ぐことは無理だとしても、日々の食生活の中で、工夫することでできる対策があります。
国内の食品メーカーでは、既に対策をしているところもあります。
ポテトチップスでは、フライする温度を低くして、時間も短くしたり、フライ直後に風をあてて冷却するなど、アクリルアミドを低くする対策をしているところもあります。
家庭ではどんな対策ができるでしょうか?
家庭でできる対策の例をあげてみたいと思います。
調理方法を工夫する
アクリルアミドは、条件が揃った時にだけ、できるものです。
アスパラギン酸と糖類と120℃以上の高温調理、この3つです。
加熱していない生の食材には、アクリルアミドは含まれていません。
それに加熱調理した食品でも、茹でたり、煮たり、蒸したりするような、水を使った調理の場合には、加熱温度がそれほど高くならないので、ほとんど含まれていません。
アクリルアミドは120℃以上で加熱されなければ、化学変化による生成は起こらないんですね。
ということは、茹でる、煮る、蒸す、炊くなどの調理方法を多くすることで、アクリルアミドの摂取量を少なくすることができます。
和食には天ぷらなどの揚げ物や、焼き魚などもありますが、比較的低温加熱の調理方法も多いので、その点から考えても、健康的な食事だと言えますね。
また、炒め物や揚げ物などの時には、できるだけ短時間で調理することも、対策になります。
温度や時間を工夫しながら調理するようにしていきたいですね。
また、パンをトーストするときには、焦がさないように、焼き色が付く程度にする、コロッケなどのジャガイモ料理は、褐色ではなくて黄金色程度に揚げるなども、できる対策の1つです。
野菜を水にさらす
ジャガイモなどは、炒め物や揚げ物以外の調理方法をなるべく選ぶ、という工夫の他に、切った後に水にさらすということもできます。
昔から、野菜の下ごしらえで、水にさらすという方法がありますよね。
苦みや辛みをとったり、農薬除去の効果もありますが、水に溶け出しやすいアスパラギン酸と糖類を、水に出させることで、生成する3つの条件のうちの2つを減らすことができます。
でも、必要な栄養素も水に溶け出してしまうことになるので、調理方法との兼ね合いを見ながら、必要に応じて取り入れていくのも良いですね。
バランスの良い食事が大切
加熱によって、食品の成分は化学変化を起こしていて、それが食品の美味しさにもつながっています。
それに加熱をすることで、食品が殺菌され食中毒を防いだり、食べやすくなったり消化が良くなるというメリットもあります。
アスパラギン酸や糖類は、多くの食品に含まれる身近な成分なので、アクリルアミドが絶対にできないように、加熱調理することは難しいことです。
日常的に揚げ物やフライドポテト、ポテトチップスなどのスナック菓子が多いという人は、食事を見直し意識することで、アクリルアミドの摂取量を減らすことができます。
それに偏った食材や食事ではなく、いろいろな食材を様々な調理方法と組み合わせて、バランスの良い食事にしていくことが、結果的にはがんなどのリスクを回避していくことにつながります。
食事以外にも、過労やストレス、睡眠不足や、喫煙などの日々の生活習慣が合わさって、がんなどの病気に繋がっていきます。
バランスを考えた食事や、日頃の生活習慣も見直し整えていくことが大切なことですね。
まとめ
食べ物の中で生成されることのある「アクリルアミド」について、お伝えしました。
私たちの体には、自分の健康を維持する働きが備わっています。
知ることは大切ですが、それによって必ず排除しなくてはいけないとストレスを感じてしまうのではなく、できるところで摂取量を減らして、健康を維持していきたいですね。
うまく食事のバランスをとりながら、生活習慣も整えていくことで、健康な体を作っていきましょう!